自分が親(おや)のとき、子(こ)からリーチが飛んできて「どこまで攻めていいのか」と迷った経験はないでしょうか。私自身、麻雀を20年ほど打っていても今なお悩む場面で、押して連荘(レンチャン)を勝ち取れることもあれば、無理に押して親かぶりや放銃(ホウジュウ)で沈むこともあります。この記事では、親番の重みと連荘を狙う価値、子のリーチへの押し引き、そしてオーラスの親の立ち回りまで、初心者の方に向けて整理します。
親番とは?|アガリも被ツモも大きい特別な1局
親番(おやばん)とは、その局の東家(トンチャ)となって場を進行する立場のことです。麻雀は4人が順番に親を務め、親には他の3人(子)にはない特別なルールがいくつもあります。
いちばん大きいのは点数です。親がアガったときの点数は、子の1.5倍になります。たとえば満貫(マンガン)なら、子の8,000点に対して親は12,000点です。同じ手でも、親のときにアガれば得点が大きく跳ね上がります。
一方で、支払いも大きくなります。子がツモアガリしたとき、親は他の子の2倍を支払います(これを「親かぶり」と呼びます)。得点も支払いも大きく振れるのが、親番という「特別な1局」の正体です。さらに、親でアガるか、テンパイのまま流局すると、親を続けられます(連荘)。この連荘のしくみは連荘・流局・オーラスの記事で詳しく解説しています。点数計算そのものは麻雀の点数計算入門も参考にしてください。
親は連荘を狙う価値が大きい|1局の重みと逆転の起点
親番でぜひ意識したいのが「連荘の価値」です。連荘とは、親がアガるなどして親をもう一度続けることを指します。子のあいだは親が回ってくるのを待つしかありませんが、親のときにアガれば、その大きな親番をさらにもう1回引き寄せられるのです。
これは点差を一気に詰める起点になります。1.5倍の点数で加点しながら連荘を重ねれば、少ない局数でも順位を大きく上げられます。逆に言えば、相手に連荘されると、こちらはなかなか親が回ってこないうえに失点もかさむ、ということでもあります。
だからこそ、親のときは「この1局をどう活かすか」を強く意識する価値があります。次からは、その具体的な攻め方を見ていきましょう。
親の攻め方①|先制リーチという最大の武器
親番でもっとも分かりやすく強いのが、先制リーチです。冒頭で「子のときに親の先制リーチが飛んでくると困る」と書きましたが、その”困る感覚”は、自分が親のときには相手に味わわせられる武器になります。
親のリーチが強いのには理由があります。アガれば打点が1.5倍になるうえ、連荘までついてきます。リーチをかけられた相手は「親に振り込むと大きい」と考えて守りに入りやすく、こちらは場の主導権を握れます。
ですから、良い待ち(両面(リャンメン)など受けの広い形)でテンパイしたら、親のときは積極的にリーチを検討したいところです。相手を降ろしながらアガリに向かえる、親ならではの攻め筋です。
親の攻め方②|子のリーチにどこまで押すか
ここが親番でいちばん悩ましく、腕の見せ所になる場面です。自分が親でまだアガっていないときに、子からリーチが入った――このとき、どこまで押して(攻めて)いいのでしょうか。
基本の判断材料|テンパイ・待ち・打点・安全牌・巡目
押すか降りるかは、いくつかの材料を総合して決めます。
- 自分がテンパイしているか(テンパイなら押す価値が上がる)
- 待ちの形が良いか悪いか(両面など良形は押し寄り、悪形(カンチャン・ペンチャンなど)は慎重に)
- 自分の手の打点(打点が大きいほど押す価値が上がる)
- 安全牌を持っているか(降りに切り替える余地があるか)
- 巡目(序盤なら選択肢が多く、終盤ほど押し引きがシビア)
そのうえで前提として押さえておきたいのが、親は子よりも押し寄りでよい、ということです。理由はこれまで見たとおりで、アガったときの見返り(1.5倍+連荘)が子より大きいからです。同じ手なら、子のときより一歩踏み込む価値があります。
なかでも打点は押し引きを大きく後押しします。私自身は、配牌の時点でドラが2枚あれば、その後に子からリーチが入っても親なら勝負したいと考えます。アガったときの見返りが大きく、親の1.5倍と連荘が乗るなら、多少のリスクを取る価値が十分あるからです。
応用|役満・跳満級を狙っているとき(国士無双を例に)
もう一段悩ましいのが、大きな手が「見えている」ときです。分かりやすい例として、国士無双(コクシムソウ)を追いかけている場面を考えます。
テンパイなら、基本は押しでよいでしょう。親の役満は48,000点と見返りが最大級だからです。ここまで来たら、多少のリスクを負ってでも仕上げにいく価値があります。
難しいのは、イーシャンテン(一向聴、テンパイの1歩手前)やリャンシャンテン(二向聴、2歩手前)のときです。国士無双は門前(メンゼン)限定で、鳴いて加速できないため、伸びは基本的にツモ頼みになります。アガリまでに必要な牌は、イーシャンテンならあと2枚、リャンシャンテンならあと3枚。それを「自分で引く」または「相手が切る・カンで出てくる」可能性がどれくらいありそうかを、総合的に見積もって判断します。
このとき効いてくるのが残り枚数の読みです。狙っている么九牌(ヤオチューハイ=一・九・字牌)が山にまだ残っていそうか、それとも他家(ターチャ)にカンやポンをされて枯れかけていないか。字牌などがカンされると、その種類の残りが減ってアガリが一気に遠のきます。相手のカンに注意するのは、こうした読みから来ています。
完全に降りきるのが惜しいときは、形式テンパイ(ケイシキテンパイ)を保険に考える手もあります。流局時にテンパイを残せれば、ノーテン罰符を避けられて親の連荘にもつながります。ただし么九牌中心の手はテンパイ形を作りにくいので、あくまで「狙えれば」という程度です(形式テンパイのしくみは形式テンパイの記事を参照)。国士無双そのものの作り方や見切りの目安は国士無双の記事で解説しています。
正直に言えば、この局面に唯一の正解はありません。么九牌の集まり具合、安全牌を持てるか、巡目を見ながら、そのつど悩んで決めるものです。私自身もここは今なお迷います。悩んで当然の場面だと考えて、落ち着いて材料を並べてみてください。
親番で気をつけること|親かぶり・放銃と引き際
攻めの価値が大きい親番ですが、その分だけ気をつけたい点もあります。
ひとつは親かぶりです。前述のとおり、子のツモアガリでは親が他の子の2倍を支払います。たとえば子の満貫ツモ(子2,000点・親4,000点)なら、親のあなたは4,000点を払うことになります。子のツモが続くと、親のときは失点がかさみやすいのです。
もうひとつは放銃です。親が振り込むと、支払いが痛いのはもちろん、連荘の権利ごと失って親が流れてしまいます。せっかくの大きな親番を、自分の放銃で手放してしまうわけです。子のときの放銃より、失うものが大きいと考えてください。
だからこそ、引き際も大切です。押す価値が大きいとはいえ、無理な押しは代償も大きくなります。手が遠く安全牌もあるなら、いったん安全牌を残して様子を見る、あるいは思いきって降りる判断も、親を守るうえで立派な選択です。
オーラスの親|条件を満たすまで続けるか終わらせるか
最後に、半荘(ハンチャン)の締めくくりであるオーラスの親について触れておきます。オーラスの親は、続けるか終わらせるかの判断が勝敗を直接左右します。
自分がトップなら、無理に大きい手を狙わず、アガりきって半荘を終わらせるのが基本です。局を進めてしまえば、そのままトップで終えられます。
逆に、逆転にはあと何点、という条件を背負っているなら、親を続けて手を作りにいく必要があります。連荘できれば逆転のチャンスをもう一度作れるからです。ただし、逆転を狙って押しすぎた結果、放銃して着順を落としては本末転倒です。必要な点数と残りリスクを天秤にかけて動きましょう。オーラス全体の立ち回りはオーラスの立ち回りの記事でもまとめています。
まとめ
親番は、アガリも支払いも大きく振れる特別な1局です。連荘の価値が大きく、うまく活かせば順位を一気に上げる起点になります。
一方で、子のリーチにどこまで押すかは、テンパイの有無・待ちの形・打点・安全牌・巡目を総合して決める、まさに腕の見せ所です。とくに国士無双のような大物手が見えているときは、残り枚数と現実性を見積もって、押すか降りるかを悩みながら判断することになります。ここは経験者でも迷う場面なので、焦らず材料を並べる習慣をつけましょう。
親の重みを理解したうえで、攻めるべきところは強気に、退くべきところは潔く。その使い分けができれば、親番はあなたの大きな武器になります。
役を覚える近道は、やはり実戦で数をこなすことです。
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