流し満貫は、流局時に自分の捨て牌がすべて么九牌(1・9と字牌)で、かつ一度も鳴かれていないと成立する満貫の役です(役の成り立ちや条件は読み物編にまとめています)。20年以上麻雀をやっている私も数えられるくらいしか上がったことがありません。手牌を作り上げる通常の役とは勝手が違い、攻めるにも守るにも独特の判断が要ります。この記事では、配牌からの方針の立て方、狙うときのコツ、そして相手の流し満貫を止める動きまで、実戦目線で整理します。
配牌からどう方針を立てるか
流し満貫は最初から狙う役ではありません。流局が前提の役を序盤から追うのは効率が悪く、たいていは普通に手を作ったほうが期待値は高くなります。とはいえ、配牌に么九牌が多いと、頭の片隅で意識し始めるのも事実です。
ここで一度見比べたいのが、国士無双等の么九牌を使った役狙いとの分かれ道です。么九牌が多い配牌は、そのまま国士無双等の入り口でもあります。么九牌の各種類が広く見えているなら、まずは国士無双等を狙いたいところです。そのため、中張牌を序盤から切ることになるでしょう。
一方、タンヤオなどを狙って序盤に么九牌を切っていたら、ツモってくるのも么九牌ばかり——そんなときに、結果として流し満貫へ狙いを移すパターンです。ただ手が進むにつれて、「このまま普通の手で上がるか、流し満貫に絞るか」で迷う局面が出てきます。中張牌を一枚でも切れば流し満貫は消えるので、受け入れの広さと他家の速度を見比べて、踏ん切りをつけることになります。
このため、序盤から国士無双などを狙うか、終盤の流し満貫に切り替えるかがポイントとなります。
盤面ごとの対応や狙うときのコツ
流し満貫へ寄せると決めるかは以下のとおり盤面ごとに変わります。
- 序盤:么九牌を自然に切っている場合は、あくまでもタンヤオ等の役狙い段階です。正直、流し満貫を意識することはないでしょう。早ければ、上がっている(上がられている)ことでしょう。
- 中盤:まだまだタンヤオ等の役狙いの段階です。相手にもテンパイの気配がないか注意が必要です。一方で么九牌を引いてくることが多い場合は、流し満貫も選択肢として考えることもある、という程度です。まあ、上がられていることも多いです。
- 終盤:まずは自分が上がれそうかです。テンパイする気配はあるが、あがっても満貫未満であれば流し満貫を狙いに行ってもよしというところです。当然ながら相手もテンパイの可能性がないか注意が必要です。あとは流し満貫に向けて自分が捨てようとしている么九牌がションパイでないか確認をします。ションパイならわざとポンされることもあるので、相手に気づかれないようそっと捨てます。
ションパイ対策としてはなるべく早めに切っておくことです。場に二〜三枚見えている字牌や、すでに誰かが見切って切っている端牌は、ポンやチーで拾われにくくなります。逆に、下家が対々和などで頻繁にポンしてくる卓では、自分の捨て牌も拾われやすく、成立は遠のきます。他家の仕掛けを見ながら、止まりそうな牌から切っていきましょう。終盤に条件がそろってきたら、無理に押すより守備を兼ねた牌選びを優先するのが安全です。
相手の流し満貫を止める
狙うのは自分だけとは限りません。相手の河が么九牌だけで進んでいたら、流し満貫を狙っている(あるいは結果的に近づいている)サインです。放っておいて成立すれば満貫の失点になるので、終盤は相手の捨て牌も時々チェックしておきたいところです。
止め方はシンプルで、相手が捨てた么九牌を鳴いてしまうことです。ポン・チー・カンのいずれかで一枚でも拾えば、相手の「一度も鳴かれていない」という条件が崩れ、その時点で流し満貫は消えます。ふだんは価値の低い字牌や端牌でも、相手の流し満貫を止めるためにあえて鳴く、という選択が出てくるわけです。
悩ましいのは終盤です。自分がイーシャンテン以上で手が見えている場合、リーチして自分の和了を取りにいくか、それともあえて鳴いて相手の流し満貫だけ止めるかで判断が分かれます。自分が和了できればそもそも流局しないので、相手の流し満貫も同時に消えます。ただ和了が間に合いそうにないなら、鳴いて確実に阻止しておくほうが安全なこともあります。
ここで気をつけたいのが、鳴くと自分の手から牌が見えてしまい、安全牌が減って守備が利きにくくなる点です。ほかにリーチ者がいて自分が降りている最中なら、無理に鳴かず放銃を避けるほうが得な場面もあります。相手に満貫を許す失点と、自分の手の価値・守備のバランスを見比べて決めましょう。
まとめ
流し満貫は、狙って作るより「気づいたら近づいていた」を拾う役です。攻めでは、配牌で么九牌が多ければ国士無双と見比べ、手が進む中で普通の手と流し満貫のどちらに寄せるかを見極めるのが軸になります。守りでは、相手の河が么九牌だらけになっていたら、あえて鳴いて流し満貫を止める動きも覚えておきたいところです。深追いは禁物ですが、悪い配牌を最後まで活かしきって満貫に変える流し満貫には、ほかの上がりにはない渋い達成感があります。役そのものの条件や点数を確認したいときは、読み物編もあわせてどうぞ。
役を覚える近道は、やはり実戦で数をこなすことです。
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