麻雀を二十年ほど続けていますが、流し満貫は何年打っても片手で数えるほどの、めったにお目にかかれない役です。それでも、河に么九牌(1・9と字牌)だけがずらりと並んで「流し満貫」と宣言される場面のインパクトは独特で、一度見ると忘れません。手牌の出来とは関係なく、捨て牌だけで満貫になる——通常の役とはまったく別の理屈で成立する、ちょっと不思議な役です。今回はこの流し満貫を、どんな役なのか・条件・点数・難しさまで、まずは「読み物」として整理します。実戦での狙い方や相手の流し満貫の止め方は、別記事の戦術編にまとめています。
流し満貫とは
ふつうの役は、手牌を和了形に整えることで成立します。ところが流し満貫はその例外で、見るのは手牌ではなく「捨て牌」です。流局したときに、自分の河(捨て牌)がすべて么九牌だった場合に満貫になります。手牌がどんな形であってもかまいません。
ひとつ先に押さえておきたいのは、流し満貫が正式な役ではなくローカルルールだという点です。競技麻雀ではほとんど採用されませんが、知名度は高く、天鳳や雀魂といったオンライン麻雀でも採用されています。仲間内やお店によって扱いが変わるので、後半で触れる細かい部分は事前確認が無難です。麻雀の役全体の位置づけは役一覧(まず覚える10役)も参考にしてみてください。
成立条件は3つ
流し満貫の条件はシンプルで、次の3つです。
- 荒牌平局(こうはいへいきょく)で流局すること。 誰も和了せず、最後のツモまで打ち切って流局した状態を指します。四開槓や四家立直などの途中流局では成立しません。
- 自分の捨て牌がすべて么九牌であること。 数牌の1・9と字牌だけで河が構成されている必要があります。
- 自分の捨て牌が一度も鳴かれていないこと。 誰かにポン・チー・カンされた牌が1枚でもあると、その時点で不成立です。
手牌の形は問われません。テンパイでもノーテンでも、極端に言えばバラバラの手でも、この3つを満たせば成立します。捨て牌だけで決まる、というのがこの役の最大の特徴です。
点数は満貫(親12,000・子8,000)
名前のとおり、点数は満貫として扱われるのが一般的です。子なら8,000点、親なら12,000点。放銃者がいないので、ツモ和了と同じように他家全員から点数を受け取ります。
なお、ルールによっては満貫より高く扱う場合もありますが、名前のとおり満貫が基本と覚えておけば十分です。このあたりも場によって変わるところです。
なぜ「役満級」に難しいのか
出やすそうに見えて、流し満貫の成立確率は0.03%程度ともいわれ、これは役満の国士無双とほぼ同じ難易度です。理由は条件の重さにあります。
荒牌平局まで進むと、捨て牌の枚数は東家・南家でおよそ18枚、西家・北家でおよそ17枚。この17〜18枚すべてを么九牌でそろえなければなりません。序盤はともかく、中盤以降は手が進むほど中張牌(2〜8の数牌)を切りたくなるので、最後まで端牌と字牌だけで通すのは至難です。么九牌・中張牌といった用語があやしければ麻雀用語集で確認しておくと読みやすくなります。
さらに、字牌や端牌は他家にポンやチーで拾われやすい牌でもあります。せっかく17枚そろえても、終盤に1枚鳴かれれば一瞬で消えてしまう。そもそも誰かが和了したら流局にすらなりません。「流局まで到達」「全部么九牌」「一度も鳴かれない」の三つを同時に満たす必要があるため、見た目以上にハードルが高い役なのです。
ローカルルールの違いと事前確認
冒頭で触れたとおり、流し満貫はローカル役です。採用するかどうかも含めて細部はお店や仲間内でバラバラなので、知っておくと安心な“割れやすいポイント”をまとめておきます。
- 和了扱いか流局扱いか:和了として処理する場合は供託(リーチ棒)や積み棒も成立者が受け取ります。流局扱いの場合はご祝儀として点数移動だけ行い、供託は場に残すこともあります。
- 連荘するか:和了扱いなら、親の流し満貫で連荘・子なら親流れが一般的。流局扱いなら親のテンパイ有無で判断するなど、ここも分かれます。
- 自分が鳴いている場合:自分の副露は基本的に関係ありませんが、「自分が鳴いていたら認めない」とするルールもあります。
- 点数:満貫が基本ですが、倍満や三麻の場合は役満などの取り決めもあります。
初めての相手や場所で打つときは、「流し満貫はあり?」「点数は満貫?」くらいは一声確認しておくと、いざ成立したときのトラブルを避けられます。捨て牌は公開情報とはいえ、成立しそうな人に「鳴いて止めろ」と促すのはマナー違反とされることが多いので、その場の空気も大切にしたいところです。
まとめ
流し満貫は、手牌ではなく捨て牌で成立する一風変わった役でした。条件は「荒牌平局で流局」「捨て牌がすべて么九牌」「一度も鳴かれない」の3つ。点数は満貫(親12,000・子8,000)が基本で、出現率は国士無双級という、知れば知るほど奥行きのある役です。ローカルルールで扱いが割れやすいので、初めての場では一声確認を忘れずに。実際にどう狙い、どう相手の流し満貫を止めるかは、別記事の戦術編にまとめています。
役を覚える近道は、やはり実戦で数をこなすことです。
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