三色同順と同様、一気通貫は一萬から九萬まで、数字がきれいに一本そろった手牌を見たときの高揚感があります。一気通貫は、翻数の特別高い役とは言えませんが、狙って組み上げられたときの満足感が格別な役です。私も一気通貫のみで上がることもあれば、染め手との複合で上がったこともあります。この前編では、まず一気通貫がどんな役かを押さえ、「どの配牌なら狙えるか」を見極めるところまでを解説します。実際の作り方・鳴き判断・複合のコツは後編で扱います。
一気通貫とは
一気通貫は、同じ種類の数牌で「123」「456」「789」の三つの順子を一つずつそろえる役です。「イッツー」と略され、文字どおり一本の数字が通る形をイメージするとわかりやすいでしょう。たとえば萬子なら「一二三四五六七八九萬」、これに別の面子一つと雀頭が加わって手が完成します。
翻数は、門前(鳴かずに手の内で完成させる)なら2翻、鳴いて作ると1翻に下がります。この「鳴くと一つ下がる」性質を食い下がりと呼び、一気通貫を狙うときに最初に意識しておきたいポイントです。
残りの一面子と雀頭は自由なので、たとえば「一二三四五六七八九萬+五六七筒+發發」のように、別の色やほかの役と組み合わせる余地があります。逆に言えば、9枚を一色の決まった並びで使い切る必要があるため、序盤の見極めが何より大切な役でもあります。麻雀の役全体の中での位置づけは役の一覧記事も合わせて確認してみてください。
なぜ一気通貫は「中級者向け」なのか
一気通貫は「同じ色で1から9まで通す」と説明だけ聞くと、とてもシンプルな役です。形そのものは初心者でもすぐ理解できます。それでも本記事で中級者向けとしているのは、実際に狙うとなると次のような判断が必要になるからです。
残りの面子・雀頭しだいで方針が変わる
1~9の並びが見えても、残る一面子と雀頭をどう作るかで、そのまま一気通貫を仕上げるか、いっそ三色同順など別の手に切り替えるか、方針が揺れる場面があります。一気通貫は一色に9枚を使い切るため三色とは両立できず、「どちらを本命にするか」を途中で決め切る判断力が要ります。
染め手では1~9がそろっても一通とは限らない
清一色などに寄せて手牌に1~9がそろっても、それだけで一気通貫が成立するわけではありません。最終的な14枚が、123・456・789の三面子を取り出したうえで、残り一面子と雀頭まで同時に成立して初めて役がつきます。清一色は同じ手牌を複数の組み方に読めるため、上がり牌しだいでは一気通貫の並びが残らない(別の組み方で和了になる)こともあり、「並んでいる=一通」と早合点できないのが難しいところです。
12・45・79のような形は鳴く順番が難しい
たとえば同じ色で12・45・79と三つの塔子を抱えているとします。一気通貫にするには12を123、45を456、79を789にするしかなく、必要な牌は3・6・8の三種だけ。しかも12はペンチャン、79はカンチャンと、受けの狭い形が混じっています。なかでも12は3でしか埋まらない悪形なので、3が出たらまずチーして123に固めたくなります。
ところが、鳴いて一つを固めるたびに、残りが特定の牌待ちに縛られていきます。3をチーして123にすると、45は456にするしかなくなり、6が必須になります。もしその6が場に4枚切れていたら、門前を崩したうえで一通の完成まで消えてしまいます。逆に6をチーして456から作ると、手元には1・2・7・9が残り、今度は3と8という、これまた限定された牌を引くか鳴くかしなければなりません。
このように、鳴けば形は進むものの、その後に必要な牌がぐっと絞られ、場にその牌が残っているかどうかで成否が決まります。だからこそ「鳴くか、どの牌から鳴くか」は河を見ながら一手ずつ判断するしかなく、ここが一気通貫の難しさです(鳴くか門前で進めるかの具体的な判断は後編で詳しく扱います)。
狙える配牌の見極め方
一気通貫が狙えるかどうかは、配牌とごく序盤のツモでほぼ決まります。判断の軸は、ある一色に数牌が偏っているか、そしてその色の「両端」が見えているかの二つです。
具体的には、同じ種類の数牌が五〜六枚以上あり、123付近と789付近の牌をすでに持っているケースが理想です。両端は引いてくるのが難しいので、最初から手元にある状態が望ましいのです。逆に456の真ん中はあとから埋めやすいため、序盤に揃っていなくてもそれほど悲観する必要はありません。中ぶくれ(たとえば四五五六のように真ん中の牌が重なった好形)があるときは、両端を引きにいく価値が高い配牌だと判断できます。
注意したいのは、深追いの危険です。一気通貫は9枚を特定の並びで使う以上、完成までの道のりが長く、途中で他家にリーチをかけられると降りにくくなります。「両端が一つも見えていないのに一色の枚数だけで突っ込む」のは事故のもとです。狙うか引くかの線引きは、配牌全体を眺めて手の方向性を決める段階で済ませておきたいところです。配牌から手作りの方針を立てる考え方は配牌から手作りを考える方法で詳しく扱っています。
まとめ
前編では、一気通貫がどんな役かと、狙える配牌の見極め方を見てきました。ポイントは、一色への偏りと「両端が見えているか」をごく序盤で判断し、深追いを避けることです。一気通貫は「狙えるときだけ狙う」のが鉄則で、形が見えていないのに無理に追うのは禁物です。この線引きさえ外さなければ、一気通貫は自然に狙っていけます。続く後編では、方向性を定めたあとの具体的な作り方、鳴くかどうかの判断、ほかの役との複合まで踏み込みます。
役を覚える近道は、やはり実戦で数をこなすことです。
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