【読み物】麻雀用語の語源・由来まとめ③|「断么九」「国士無双」その名前は何を表す?

知識・マナー

麻雀を覚えたての頃、私は役の名前をただの呪文のように丸暗記していました。「タンヤオ」「ホンイツ」「コクシムソウ」……音では言えても、その字面が何を表しているかは、ほとんど気にしていませんでした。

ところが、あるときふと漢字に目を向けてみると、役名の多くは「その役の成立条件そのもの」を短い言葉に圧縮したものだと気づきました。意味がわかると忘れにくくなりますし、何より一局一局がぐっと面白くなります。今回は、よく使う役から憧れの役満まで、名前の由来をたどってみます。

なお、語源①では「平和」「リーチ」「ドラ」といった言葉がどこから来たのかを、語源②では牌そのものの呼び名をたどりました。今回の③は、「断么九」「国士無双」などについて「漢字を読み解くと成立条件が見えてくる」という角度から眺めてみます。あわせてどうぞ。

「么九(ヤオチュー)」をめぐる名前

まずは身近なタンヤオから。正式には「断么九(タンヤオチュー)」と書きます。「么九(ヤオチュー)」とは、1・9の数牌と字牌をまとめた呼び名で、これらを「么九牌」と言います。その么九牌を「断つ」、つまり一切使わない――だから「断么九」。2〜8の中張牌だけで手をそろえるという条件が、そのまま名前になっているわけです。

ちなみに「么」は「小さい」「数字の一」を表す字で、「断公九」と書くのは誤りとされています。

この「么九」を逆に「帯びる(必ず含む)」役が、チャンタと純チャンです。チャンタは正式には「混全帯么九(ホンチャンタイヤオチュー)」。すべての面子と雀頭に么九牌が入っている形で、「全部の面子が帯(おび)のように么九を含む」という意味です。さらに字牌を使わず、1・9の数牌だけで通したものが「純全帯么九(ジュンチャンタイヤオチュー)」、略して純チャン。「混」が取れて「純」になると、より厳しい条件になる――この対比は次の一色系にも通じます。

「色」で決まる名前

混一色・清一色も、漢字を見れば違いが一目でわかります。

混一色(ホンイツ)は「混じった一色」。一種類の数牌に、字牌が混じることを許した染め手です。これに対して清一色(チンイツ)は「清(きよ)い一色」。字牌すら使わず、一種類の数牌だけで仕上げた、混じりけのない形を指します。「混」と「清」のたった一字で、字牌を使えるかどうかが決まっているわけです。

この「一色」という言葉は役満にも顔を出します。あとで触れる字一色(ツーイーソー)や緑一色(リューイーソー)も、同じ「一色=一種でそろえる」の発想で名づけられています。

対子と順子の名前

対々和(トイトイホー)は、刻子(同じ牌3枚)ばかりで手をそろえる役です。対子(同じ牌2枚=ペア)が次々に刻子へ育っていくイメージから、「対」が「々」と続く「対々」。和(ホー)は「和了(アガリ)」のことです。

一方、順子で組む役に一盃口・二盃口があります。一盃口(イーペーコー)は、まったく同じ並びの順子を2組そろえる役。「盃口」という字の由来には諸説あり、戦後に立直麻雀を広めた天野大三氏が「いっぺいこう」という音に「盃」と「口」を当てたという説や、中国語で「盃=対(ペア)」「口=組」を表すという説などが知られています。いずれにせよ「ひと組のそろい」という意味合いです。これが2組になると二盃口(リャンペーコー)。「一」が「二(リャン)」に変わるだけで、難易度は跳ね上がります。

並びで決まる名前

順番に「並べる」ことを名前にした役もあります。

三色同順は「三色(萬・筒・索)で同じ順を作る」。三つの色で同じ並びの順子をそろえる、という条件がそのまま名前です。同じ並びを刻子でそろえれば三色同刻になります。

一気通貫は「一気に通貫する」。一種類の数牌で123・456・789と1から9までを一気に貫く形を、まさに字のとおりに表しています。略して「イッツー」と呼ばれますが、漢字を見ればその雄大な並びがイメージできます。

故事から来た役満――国士無双

ここからは役満です。なかでも由来が際立っているのが国士無双(コクシムソウ)。これは麻雀の中で生まれた言葉ではなく、もともと中国の古典に出てくる言葉です。

「国士」はその国で並ぶ者のない優れた人物、「無双」は二つとない、という意味。漢の劉邦に仕えた名将・韓信の才能を讃えて、「国士、二つと無し」と評した故事に由来します(出典は『史記』淮陰侯列伝)。么九牌13種を1枚ずつ集める、ほかに似た形のない孤高の役満に、この言葉が当てられたわけです。役自体は「十三么九(シーサンヤオチュー)」とも呼ばれ、英語では「Thirteen Orphans(13人の孤児)」という名前になっています。

字を見れば条件がわかる役満

ほかの役満も、漢字がそのまま条件を語っています。

大三元(ダイサンゲン)の「三元」は、三元牌――白・發・中のこと。この3種すべてを刻子でそろえる役です。緑一色(リューイーソー)は文字どおり「緑一色」で、牌の柄が緑色だけ(索子の2・3・4・6・8と發)でそろえる形。同じ索子でも、赤い模様が入る1・5・7・9索は緑色ではないので使えません。字一色(ツーイーソー)は「字(牌)一色」、つまり字牌だけでそろえた形です。四暗刻(スーアンコー)は「四つの暗刻」、つまり鳴かずに作った刻子を4つそろえる役です。いずれも、名前を読めば何をそろえればいいかがそのまま書いてあります。

そして、名前の美しさで群を抜くのが九蓮宝燈(チューレンポウトウ)。同じ色の数牌で「1112345678999+同色の1枚」という特定の形を門前で和了したときに成立する、清一色の最高峰です。中国語由来の役名で、「九つの蓮の宝の燈火」とも読めるその字面のとおり、ずらりと並んだ牌の姿は壮観のひとことです。「天衣無縫」という別名や、「あがると死ぬ」という(もちろん迷信の)言い伝えまであり、英語でも「Nine Gates(九つの門)」と呼ばれます。多くの打ち手が一生に一度を夢見る、麻雀の到達点のような役です。

まとめ

こうして並べてみると、麻雀の役名の多くは、その役の成立条件を漢字に凝縮した「説明書」のようなものだとわかります。「么九を断つ」「混じった一色」「三色で同じ順」――字を読み解けば、条件がそのまま見えてくる。国士無双や九蓮宝燈のように、故事や情景から名づけられたものには、また別の味わいがあります。

役を覚えるとき、ぜひ漢字の意味にも少し目を向けてみてください。丸暗記よりずっと忘れにくく、麻雀がもっと楽しくなるはずです。

それぞれの役のルールや作り方を確かめたいときは、まず覚える10役や、全役をまとめた役一覧(保存版)もあわせてどうぞ。

役を覚える近道は、やはり実戦で数をこなすことです。

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